お知らせ

ごろにゃーご!『旅をひとさじ てくてくラーハ日記』の写真と文を担当した松本智秋です。

著者が「担当」だなんて物言い、ちょっとヘン……かな、とも思うのだけど、謙遜ではなく、本の制作を終えたいまの心境そのままに書くとそんな感じです。自分の旅の本だけど、自分のものだけではないなと感じています。

写真を選ぶ・選び直す。原稿を書く・書き直す。レイアウトを考える・考え直す。

そんなくり返しのなかで交わしていくことばの数々。あふれる気持ち。それらを互いに伝えあう。本づくりってとてもプリミティブな要素を含んでいると思いました。みずき書林の岡田林太郎さん、デザイナーの見元俊一郎くん。このふたりとだからこそできあがった誇らしい一冊です。

さて。

そんなふうに思いをこめてつくった一冊ですが、紙の本はどうしてもページ数の関係でダイジェスト版のようになってしまいます。収録する旅先が増えれば増えるほど、ひとつの旅先に対しての配分が少なーく、うすーくなってしまう点が悩ましいったらない。どの旅先も外したくないけど、あのごはん、あの写真も外したくない……。でも外さねば……。

そこでわたしたちは、そんな悶々とした悩ましさや未練をweb上で解消したいと考えました。

このサイトではこれからの出版イベント情報や、『旅をひとさじ てくてくラーハ日記』に収録しきれなかったごはんや写真、収録はしているけれど「実はこんなこともあったのです」なんてお話などなど更新していきます。

初めてひとり旅をしたのは23歳のころ。若くて、いまよりずっと無知で、その分うんと単純明快だったわたしは、「みんなが世界のあちこちに暮らしがあるって知ったら戦争なくなるかも!」と本気で思いました。そのことを知れば戦争なんて(攻撃するなんて)できなくなる!と。だけど、現実はそうではないみたい。

人に想像することを強いることはできません。わたしだってそんなこと強いられたくない。だけど、なにかきな臭い、いやな方向にいきそうになったとき、その進行の抑止力として想像することの大切さを思います。『旅をひとさじ』が、いろんな人びとの暮らしを想像するキッカケやその一助になることを願う気持ちも捨てられません。世界もわたしも矛盾だらけで、説明できないことだらけです。

あらためて、ここまでたどり着いてくれてありがとうございます。名前のない感情がたくさん湧きあがっています。わたしの気持ちもそこそこに、このサイトを介して『旅をひとさじ』を手にしてくれた人たち(もちろんそうでない方も!)と、より関わっていけたらうれしいですし、引き続きたのしんでいただけたらいいなあと思っています。

ひとさじ、もいっちょひとさじ!で、タイトル的には「旅を大てんこ盛り」やないか。

そう思われた方、正解。

書籍『旅をひとさじ—てくてくラーハ日記—』書影

選りすぐりの写真とエッセイを収録!

書籍『旅をひとさじ—てくてくラーハ日記—』松本智秋 著

A5判並製・コデックス装・フルカラー・144頁
定価:本体1800円+税

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