旅のエッセイ

中国四川省・雲南省・貴州省をまわった2ヶ月の旅で感心したのは、中国の人たちのごはんの食べ方。麺料理にあふれる中国旅はひとりごはんでもかなり満足できるのだけど、いろんなおかずを食べられる大人数での食事は横目で見ていても本当においしそう。混ざって食べたいなあと思うことはしょっちゅうだった。

チベットの人たちが暮らす四川省チベット族自治州の入り口にあたる康定(カンディン)という標高2600mの小さな町に、わたしは高度順応のため二泊三日滞在していた。その頃の中国は国内バックパッカー旅がブームになっていて、ユースホステルは学生でいっぱい。みんな超フレンドリーで明るい。宿のキッチンで作ったという夕食にも招いてくれた。

めちゃくちゃ立派

真ん中の青菜の辛い汁物に、お肉を炒めたもの、野菜を炒めたもの、春雨を炒めたもの、茹で肉のおつまみ(ピリ辛のタレにつけて食べる)とずらり。これらを白米とばっくばく食べる。これがまあおいしい。大学生でこんなにバランスのいい食事を用意するのかと正直驚いた。これからの旅についてみんな話も尽きない。

チベットまで10km、標高4000mの徳鉄(ドーチン)という山の町で仲良くなった国内旅行をバックパック旅していた男の子たちと食事をするときも、注文する流れは暗黙の了解でメイン(肉か魚)・スープ・野菜・副菜もうひとつ、と決まっていた。

ぜんぶおいしかった……
山なのでメインは魚ではなくやはりお肉になりがち(魚は高値)

男の子なんて、お肉系でがつがつ!と食べるイメージがあったので(実際日本人旅行者と食事にいくとそういうオーダーになりがちだった)、きちんと汁物があったり副菜があったりで一緒に食事をするのはとてもたのしかった。

白米をほおばったまま大声で話すので、ペッペと食べ物が飛んできたり、口の中にある骨やガラをペー!と勢いよく吐き捨てたり……マナーの点で言えばそりゃあもう、ちょっとことばに詰まるようなこともある(苦笑)。だけどそれを一概に嫌悪できないくらい食への “姿勢” は豊満で、食べることが好きなんだなあ〜と思った。食べること、そしてその時間そのものをたのしんでいて、食卓は笑いが絶えない。

バランスよくたくさん食べる。そしてその日あったことをたくさん喋るーー特別なことはないもないけれどそんな当たり前がいい。中国の人たちの元気の源は間違いなく「食」にある。そう思った。

そうして中国でおいしい食べ方を学んだわたしは、その2ヶ月でしっかり4kg太るというオチ。いやだっておいしいんだもの!中国料理。

すでに顔ぱんぱん!
徳鉄で出会った彼らはそのままチベット自治区へ
中国国籍だとビザもパーミットも不要
一緒にした山登りたのしかったな
書籍『旅をひとさじ—てくてくラーハ日記—』書影

選りすぐりの写真とエッセイを収録!

書籍『旅をひとさじ—てくてくラーハ日記—』松本智秋 著

A5判並製・コデックス装・フルカラー・144頁
定価:本体1800円+税

書籍紹介へ