旅のエッセイ

イランのペルセポリスからの帰り道だったか、シーラーズの街のはずれだったかで、わたしはとても空腹だった。とりあえず何か食べたい!と、人が混んでいるでもない、といってまったくいないわけでもない、なんの特徴もないごくごく普通のカフェ・レストランのようなお店に入った。注文したのはキャバブ。肉団子とかハンバーグみたいなひき肉料理。

店員さんは愛想ないけど感じが悪いというほどでもなく、まだごはんは食べていないけど53点みたいなお店で(ちなみに最高に無愛想までいくと振り切って高得点を叩き出すことも)、とりあえず早く食べたいなあという一心。

なのに。これがまあ出てこない。嫌味で厨房のぞきに行こうかと思い始めるくらい出てこない。「これは忘れられている……?」そう思い、いよいよ店員さんを呼ぼうかと思ったその時、ようやくバスティマライスがやってきた。

こんもり

きたー!きたー!ふぅん、この添えつけのソースかけるのね。ちょっとファストフードっぽいなあ(遅いけど)! など思いめぐらせ、すぐ来るであろうキャバブを待つ。

…待つ。

……待つ。

こない。

キャバブぜんぜんこない。

なんで?

10分ほど経ち(この状態の10分てすごく長い)、ほんまこのお店なんなん?としびれをきらせ、あまりの空腹にとりあえず米だけでも食べるか、とスプーンを入れる。

え〜〜〜〜〜ッ!?!?!?!? そんなん無理〜〜〜〜〜!!!!!!

お米掘ったら秒でキャバブ ←「玄関開けたら2分でごはん」世代

100点(はあと)

と、いう、イランで食べたごはんのお話でした(笑)。あとから写真をよぉく見ると、バスティマライスからちょっとキャバブはみ出ているの、ほんと笑う。盛り付けレベル高すぎ。

書籍『旅をひとさじ—てくてくラーハ日記—』書影

選りすぐりの写真とエッセイを収録!

書籍『旅をひとさじ—てくてくラーハ日記—』松本智秋 著

A5判並製・コデックス装・フルカラー・144頁
定価:本体1800円+税

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