旅のエッセイ

前回の旅ごはんエッセイ「麺、たわわ」を読んだ『旅をひとさじ』のブックデザイナー見元くんが、中華な麺が食べたい!となり台湾料理屋さんへ行っていた。しかも歌舞伎町の「青葉」! わたしが熱望しながらも行きそびれ続けている老舗。あー台湾料理、好き。

何度か訪れた台湾。ごはんを食べていて、いちばん「好きだなあ」と思うのはスープになった。初めの頃は、丼ものや麺類、炒め物、饅頭系など、ガツっとドシッとしたものを思い浮かべていた。あともちもちむちむちしたもの。だけど、帰国して「はあ、食べたい」となるのがやたらとスープなことに気づいた。

早朝から食べた台南での朝ごはん
あっさりとしたこの牛肉スープのおいしいこと!

薄味で、スープ単体で食べると物足りないかもってくらいの味付けも、ほかの料理が濃ゆいのでその薄味がなんとも優しく胃腸に沁みわたる。濃ゆいごはんをさらにおいしく食べさせる役割をつとめてくれる。あたたかいお茶もおいしいけれど、お茶ではこうはいかない。なんてかしこいスープ。

台中で食べた夜ごはん
この蛤蜊湯(ハマグリのスープ)が最高

↑蛤蜊湯はお店によっては「……白湯か?」と思うほど薄味のところもあった。でもおいしい。生姜の千切りたっぷり。これがいい。今では、こういうごはんの後に「あー!おいしかったあ!」と全力で思えるのは、濃さも香辛料の刺激も油っぽさも優しく流し込んでくれたスープのおかげでは?と思っている。

自宅でもちょくちょく作る蛤蜊湯と書いてこれはアサリ
ベトナムの蒸し春巻きバインクオンと

白ネギの青い部分を入れてお水とお酒。生姜の千切りをたっぷり入れて、アサリに火が通ったら塩。これで出来上がり。炒め物との相性◎ あとお酒を飲みすぎた翌朝いただくと泣けます(笑)。

書籍『旅をひとさじ—てくてくラーハ日記—』書影

選りすぐりの写真とエッセイを収録!

書籍『旅をひとさじ—てくてくラーハ日記—』松本智秋 著

A5判並製・コデックス装・フルカラー・144頁
定価:本体1800円+税

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