旅のエッセイ

『旅をひとさじ てくてくラーハ日記』を購入してくれた方たちからちょくちょく聞かれる「あの犬、だれ?」。

本のなかに猫が登場することについては、「はじめに」に記述しているせいかなにも聞かれない。しかし突然奥付に現れる きょん とした、ふわふわもこもこ犬に対しては「なんで急に犬」と思うらしい。

犬、突然現る

こちらのお犬ちゃんの名はクリーム。見た目・名前とは裏腹に(ヒト年齢に換算すると)御歳68歳のおっちゃん。みずき書林代表であり『旅をひとさじ』の編集者でもある岡田さんが、夏に引き取った愛犬なのであります。

『旅をひとさじ』ができあがる前、制作期間だった頃。岡田さんは、わたしやデザイナーの見元くんの制作にまつわる希望・要望のほとんどを快諾してくれていた。予算的にアウトなんじゃないかな?なんてことも。

これ、出版の世界に関わりがあったり身を置く友人・知人に言わせれば、すごいことなんだそう。「なんだそう」と書いて、いやもうそのときからわたしたちもそう感じていたのだけど。

そんな快諾マン岡田さんがいよいよ最終段階!な打ち合わせで「あの……、僕からひとつお願いがあるのですが……」と恐縮しながら言った。岡田さんから発せられる初の要望。わたしと見元くんは「えー! なに! 岡田さん、なに! 言って!」と前のめり。そして岡田さん、

「うちのクリームも本に入れてほしい…」

とぽつり。

笑い声が見元くんの事務所にカラカラと響く。そして見元くんが「ここしかありえないってほど、すっぽり収まった」と送ってきた奥付頁のデータを見てまた大笑い。これが「急に犬」のなりゆき。

いざ配置してみると、クリームもはじめっから登場することになっていたなーと思うほどのすっぽり感。いいね、いいね。

『旅をひとさじ』が刷り上がり、初めて手にした日。パラパラと頁をめくりながら「ここ色校正どおりにいったね」「ここの流れ正解だったね」と感想を言い合うなかで出た「でも犬猫に関してはだいぶ好き放題やったねえ」にまた笑う。好き放題させてくれた岡田さん、好き放題をカタチにしてくれた見元くん。あらためて、本当にありがとうございました。

鼻はマロングラッセのよう。 耳はタッセルにも劣らない毛量。かわいい
実際に会うとまあまあデカい。もっふもふ!
見元くんの膝の上で初老の表情をのぞかせるクリーム
岡田林太郎&クリーム(写真:後藤悠樹)

今後もこんな感じで本や旅のことについて、いろいろ綴っていきたいと思っています。旅をひとさじwebも、どうぞよろしくお願いします!

【余談】冒険研究所書店の荻田さんちの犬の名前はあずき(小豆)。ふたり(二匹)が結婚したら「クリーム小豆」やんか!と盛りあがる酒宴。ヒトも猫も犬もみんなかわいいね笑

書籍『旅をひとさじ—てくてくラーハ日記—』書影

選りすぐりの写真とエッセイを収録!

書籍『旅をひとさじ—てくてくラーハ日記—』松本智秋 著

A5判並製・コデックス装・フルカラー・144頁
定価:本体1800円+税

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