旅のエッセイ

ラマダンが始まる前日に代々木上原にある東京ジャーミイへ。ってまあ前日だったのはたまたまだけど。昨年のラマダン時期を振り返って「もうそろそろだっけ?」なんて思っていたら、あっという間。一年は早いなあ。上京したての頃、オスマントルコ様式のモスクが自宅から自転車20分の距離にあることがうれしくてよく訪れていた。

今回驚いたのは、1階にあるハラル・マーケットが思いのほか充実していたこと。実は通っていた回数のわりに毎度1階には寄らず、直接礼拝所へ行ける階段を使っていたのでまったく知らなかった。そしてトルコ文化センターという役割もあるんだな。たのしかった。多少デタラメでもいいから、いつかペルシャ様式のモスクも建てられてほしい。

文化センターの建物の壁には小ぶりながらカリグラフィーがいくつか描かれてあった。トルコのエディルネという街で訪れたエスキジャーミイ、そこで見た迫力あるカリグラフィーを思い出す。

イスタンブールで訪れたモスクのような華やぎはないけれど、なかなかグッとくるモスクだった。

わたしにとっては旅をなつかしく思う場所にもなる東京ジャーミイ。だけど、ふわあっとただようラマダン前日の高揚感に触れて「そうか、ここはムスリムの人たちにとってはとても大切な祈りの場所なのだ」とハッとする。祈る習慣がないせいか、頭ではわかっていてもつい忘れてしまう。

より一層、理解や親交が深まる場所になっていけばいいなあと思う。Ramadan Kareem!

書籍『旅をひとさじ—てくてくラーハ日記—』書影

選りすぐりの写真とエッセイを収録!

書籍『旅をひとさじ—てくてくラーハ日記—』松本智秋 著

A5判並製・コデックス装・フルカラー・144頁
定価:本体1800円+税

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