旅のエッセイ

刊行記念イベント週間が終了。いまは疲労感と無事こなせた安心感でへなへなしながらひとさじ便りを書いている。

人との出会い・めぐりはつくづく深遠だと思う。ほんの1年前に立ち返って考えてみても、あの頃の自分には、こんな日々を想像すること……どころか、求めることすらもできなかった。世界中で疫病が蔓延し、旅に出られなくなったのと同じくらい不思議。様々なめぐり合わせを想う。

旅の本屋のまどさんでのトークイベント。最後に流したジョージア・トビリシでの動画を、たくさんの人が「よかった」と言ってくださった。ひとりじっと大切にしまっていた旅先での景色を、”そこ” にはいなかった人たちといま “ここ” で共有し、なにかを感じてもらえること。それは紛れもない幸福。

地下鉄の駅から地上に向かうトンネル内に響くアコーディオンの演奏。足音。地上からの光は未来への入り口にも見えるけれど、どこにでもいける時空への入り口のようにも思えてくる。旅のおわりと旅のはじまりを感じたこの場面、わたしの旅の記憶に、観た一人ひとりがそれぞれの触れ方で触れてくれた。新たな息吹が吹き込まれたこの動画を、わたしはまたしまいこみ、これまで以上に大切にする。

ご参加くださったみなさま、本当にどうもありがとうございました。ガランとした会場だったら、あんなふうにはお話できない。話す対象「あなた」の存在がしみました。そして岡田さん、見元くん。ふたりの存在がどれほど心強くわたしを安定させてくれていたことか。これからもどうぞよろしくお願いしますね(投げキッス)。

トップの写真は出版祝いでいただいた羊クッキー。毛はマシュマロ。うメェ。

書籍『旅をひとさじ—てくてくラーハ日記—』書影

選りすぐりの写真とエッセイを収録!

書籍『旅をひとさじ—てくてくラーハ日記—』松本智秋 著

A5判並製・コデックス装・フルカラー・144頁
定価:本体1800円+税

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