旅のエッセイ

コロナで旅行ができなくなってからというもの、旅に出たくなる気持ちを封印したくてなにも調べなくなった。のだけど、ブログを書くことになり「そういえばあれってどうなってんだろ?」なことを調べる気持ちが湧いてきた。

早速調べたのは春秋航空の運行状況。上京したときは「これで茨城空港からサクッと中国行けちゃうな~」なんて浮かれていたのだけど……。

●が運航日。少な!茨城空港は存在すらせず

検索意欲が早々に萎えそうな結果にしょんぼり。

『旅をひとさじ』のトップバッターは2015年10月に春秋航空で行った中国・西安。西安咸陽国際空港に到着後、まっすぐ回民街(イスラム街)へ向かい、予約していた宿まで歩く。その道中に見られる光景がなんともたまらない。

印象的な吊りネオン。夜の回民街はムード満点

宿の女性ドミトリー部屋はエレベーターなしの4階だった。「げー!個室高くなかったしそっちにすればよかった」と2~3階の個室のドアをうらめしく見つつ、後悔たらたら階段をあがっていく。

4人部屋の女性ドミトリーは当時のレートで一泊 約500円

息を切らしながらたどり着いたドミトリーの部屋には、道路に面した壁側に窓があった。バックパックを床に置き、窓から外の景色を見下ろす。その瞬間、胸がぎゅうっとなる。きのうも、おとついも、おそらくこんな感じだったんだろうと想像できる営みが、そこにあった。

こんなとき「自分はなんてしあわせなんだろう」と思う。この景色を見られただけで来てよかったと感激する。地面に脚をつけて眺める街の様子もいいけれど、こうして見下ろす景色はまた違った感慨がある。

あしたも、あさっても、きっとこんなふうなんだろう。そんなことを思いながらベッドに入った。

回民街で見たビャンビャン麺のネオンサイン
57画の漢字をネオンサインにできるのか! と驚くも、
よく見るとドットの群れ
ビャンビャン麺とわかる ”それっぽさ” イケてる

西安でのごはんに続く。

書籍『旅をひとさじ—てくてくラーハ日記—』書影

選りすぐりの写真とエッセイを収録!

書籍『旅をひとさじ—てくてくラーハ日記—』松本智秋 著

A5判並製・コデックス装・フルカラー・144頁
定価:本体1800円+税

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